
現役訪問療法士です。
「家族の退院が決まって、ほっと一安心。けど、『介護が必要な状態』って言われた……」とお悩みではありませんか?
初めての在宅介護では漠然とした不安を抱える方が大半です。そして、それは介護がどういうものであるかが分からない場合や、読まれている「あなた」の生活に「介護がある」という状態をイメージしにくいためではないでしょうか?
ここでは、今度から介護をしていくことになったご家族向けに、訪問療法士として実際の家族介護を見てきた現場から得た「退院前に考えておきたい準備」を紹介していきます。
合わせて読みたい「訪問療法士って何?」
過去記事で私のお仕事を紹介しています。ご参考までに。
この記事はこんな方にオススメ!
- 介護が初めての自分にできるか不安…
- 介護のどういうところが一番大変なんだろう…
- 介護の前に準備しておくこと、考えておくことは?
知らなかった介護を「知る」ということから、少しでも不安は取り除けます!
ぜひ、この記事を読んで介護をしていく準備を整えて、乗り越えていきましょう!
目次
介護の不安の正体とは?
退院が決まったとき、多くのご家族が感じるのは「なんとなく不安」
初めてのことで具体的な生活をイメージできないこと、どこを介護すればいいのかが分からないことから生じる不安とも言えます。
- 仕事と介護の生活が両立できる?
- 自分がちゃんと介護できる?
- 何からとりかかればいいの?
そのため、この漠然とした不安への対策としては、自宅で介護が必要な動作や場所の説明を受けることだと思います。
まずは病院スタッフに聞くことが何よりも大事です。カンファレンス(話し合い)や担当者会議などが設けられたときは、どこに、どのような介護が必要か、質問することも重要になります!
介護は具体的に何が大変か
在宅介護経験者へのアンケートでは、「予想以上につらかった介助」として
- 排泄介助 57.6%
- 移動介助 48.3%
- 入浴介助 40.0%
という結果が報告されています。
また、厚生労働省の家族介護者支援に関する資料では、精神的負担を「感じている」
引用:在宅介護で家族の負担が大きいこととは?アンケート結果を紹介
さらに在宅介護の排泄介助に関する研究では、家族介護者の約88%が身体的・精神的・
☑退院前に優先的に確認したい生活動作
- 排泄面
- 移動面
- 入浴面
もちろん、個人差はあるためまったく違う場面に介護が必要になることもあります。病院スタッフとの確認を繰り返していきましょう。
ここからは、
介護のために退院前に考えておきたいポイント5選
①排泄介助(おトイレ事情)は最も負担になりやすい
一つ目のポイントとしては、おトイレ事情になります。
在宅介護で最も負担が大きいと回答されたのが排泄介助です。約6割の家族が「予想以上に大変だった」と答えています。
理由はシンプルで、
- 回数が多い
- 夜間もある
- 失敗対応がある
- 介護する側の身体的な負担がある
特に夜間のおトイレ事情は予め対応を決めておくことが、自分の負担軽減になります。夜中に複数回呼ばれることや転倒が心配になることで、眠れない介護になるためです。さらにご高齢になるにつれて、夜間は頻回にトイレに行く傾向になります。
☑退院前に考えておきたい、おトイレ事情
- トイレへの移動は安全にできるか
- ズボンや紙パンツなどが上げ下げできるか
- トイレで排泄可能か、ベッドの上でオムツ対応か
- 日中と夜間で使用するもの(オムツやパット)を分ける必要があるか
おトイレ事情については一度の話し合いや、夜間を一回過ごしただけでは定まりきらないことが多いです。
入院中の状況から対応策を用意して、自宅に戻り、数日間過ごしてみて分かってくることもあります!多くの方が苦労されるため、情報収集をしながら乗り越えていきましょう!
②移動の負担はどこで起きるか
二つ目のポイントとしては、乗り移りを含めた移動動作です。
移動と聞くと歩くこと?と思いますが、ここでは歩くことだけに絞らず、歩く前の動作や乗り移りも含めて考えていきます。各動作に介助が必要になることから分解して考えていくことが大事です。
ざっくりと分解すると4つ
- ベッドから起きる
- 立ち上がる
- 歩き出すまたは車椅子への乗り移り
- 歩くまたは車椅子で移動する
これらが自分でできるか、介助が必要なのか、全くできないのかに分けて考えます。ここが分かるだけで、準備の方向が具体的に見えてきます。
そして、家族介護の身体的負担の例として多いのは、繰り返す乗り移り場面で腰を痛めることです。
1日に最低でも一回以上、場合によってはトイレに行くたびに介助が必要になるなど、介助者の腰への負担がとても大きくなります。
慣れない初めのうちは自己流でやらず、専門職に聞きながら練習しましょう!予防的に市販のコルセットを使うこともオススメです!
③入浴は「できるか」より「支えられるか」
入浴介助も約4割の家族が負担と回答しています。
入浴は清潔を保つためには必須です。月一回というわけにもいきません。そして環境的には濡れていて滑りやすい上に、見えない所を洗う必要もあるという、動作を評価する立場としてはまさに転倒原因のオンパレードとも言える生活動作になります。
ここでは動作として自分でできるとしても、安全のために見守りをしてほしいと希望される方もいます。
つまり、ふらついた時にお風呂場で介助者が「支えられるか」という視点で考えておきましょう。
入浴の動作だけでなく、お風呂は衣服を脱ぐところから始まります。暑さや寒さなど、季節の影響を受けやすい場面であることも考えておきましょう。特に冬の寒い時期はヒートショックを防ぐために脱衣所と浴室の温度は一定に保つ対策が必要になります。
☑退院前に考えておきたい、入浴場面
- 十分な回数を自宅で入ることができるか
- お風呂場で支えられるか
- 衣服の脱ぎ着までイメージできるか
「やっぱりできるか不安……」と考えている方も大丈夫です。必要であれば外部サービスの利用を検討して、確実に安全に入浴ができることを目指していきましょう!
④介助する人の体力は足りるか
見落とされやすいのがここです。
初めての在宅介護は技術より体力が必要です。技術が完璧にできるようになったとしても、それを毎日続けていきます。介護者の体調の悪い時だってあります。
毎日続ける辛さ、しんどさ、大変さは専門職にもすぐに分かることではなく、当人しか感じられません。時には逃げることや一旦離れる機会も必要に応じてあったほうが良い場合があります。
☑退院前に確認しておきたい、「休憩する」こと
- 介護できるマンパワーがあるか
- 1人時間を設けることを意識する
- 誰か、もしくは外部サービスに頼る
- やらなくたっていいと思う
介護が始まる前に、自分の休憩時間や逃げ道を作っておくことを強くオススメします!
次に紹介する内容と重複しますが、全てをこなす必要はないのです。今日できなかったから、一回手を抜いたからといって、これを責める人は誰もいません。
⑤一人で抱え込む状況にならないか
在宅介護では精神的負担も大きく、6割以上の家族が負担を感じていると報告されています。
理由として多いのは
- 終わりが見えない
- 休めない
- 正解が分からない
という点です。
介護をしていると自ずと外界との繋がりが希薄になる傾向があります。これが続くことによって、社会から離れる時間が増え、結果として孤立してしまう原因になり得ます。
☑退院前に考えておきたい
相談できる先を決めておく
ということです。
そして、関わる人が増えるほど介護の負担は減るということを覚えておいてください!
まとめ
在宅介護で負担になりやすいのは排泄面、移動面、入浴面の生活動作です。
しかし、生活をしているとこんなことにも介護が必要になるのか!と思う場面が、突然現れます。今回の記事は退院前に考えておきたい内容となっていますが、介護には十分準備できたと言える事はないとも思っています。始まってから分かることも、とても多いからです。
不安を抱えているのは誰しも同じです。それでもできる準備はたくさんあり、不安の解消にもつながります。
退院はゴールではなく、生活のスタートです!
この記事が、少しでもお役に立てると嬉しいです。
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引用:在宅介護で家族の負担が大きいこととは?アンケート結果を紹介