
現役訪問療法士です。
あなたは、
誰かの
シャツを脱がして着せて、
下着やオムツを脱がして着せて、
ズボンを脱がして履かせる
ことができますか?
「簡単でしょ」と思われる方もいれば、
「え、難しくない?」と考える方もいると
思います。
よくあるのは退院前に
「服の脱ぎ着に介助が必要です」
というように説明を受けて
住まいに帰ります。
初めて在宅介護をする方にとって、
『着替えの介助』は
- 「服が引っかかって思うように着せられない」
- 「体が支えらなくて着替えたいのに手が足りない」
- 「寝たままの姿勢では着せにくい」
こういった場面がどんどんでてきます。
衣服の脱ぎ着は生活することや健康を保つうえで、
優先順位は決して高いとは言えません。
ですが、
着替えは毎日のことであり、
介護をされる側・する側にも
意外と負担のかかりやすい
介助であると思います。
ということで、今回は退院準備シリーズとして『着替え介助のポイント』
をご紹介していきます。
過去記事では退院準備シリーズとして『排泄介助』『移動介助』
『車椅子介助』『入浴介助』について、ポイントを踏まえて
公開しています。
是非ご参考にしてください。
では早速見ていきましょう。
目次
- 1.ここだけは覚えておいてほしい「着替えは怪我をしやすい」
- 2. よくある「着せ方・脱がし方の失敗」
- 3.着せ方のコツ「無理にしない、一気にやらない」
- 4. 脱がせ方のコツ「逆手順を基本とする」
- 5.衣類の脱ぎ着 鉄則は『脱健着患』
- 6. 着替えを楽にする「服と肌着の選び方」
- 7. 私があまりオススメしない、気を付けたい服
- 8. 市販の服でも代用できる
- 9. まとめ
1.ここだけは覚えておいてほしい「着替えは怪我をしやすい」
まず、着替えは怪我をしやすい場面です。
え、着替えで?という感じですが、
実は多いのです。
着替えに介助が必要と聞くと、
「手を通して、足を通して服のシワとか
よりを直して着せてあげる感じかな?」
となんとなく想像はできるかもしれません。
でも本当に考えるべきはそこではありません。
- 脱がせる・着せる時に無理な力をかけずにできるか
- 「介助する側」が安定してできるか
- 時間的な余裕をもって着せる・脱がせることができるか
- 介護される側が動作途中でふらついていないか
着替えの介助は無理に行うと、
一気に事故につながります。
怪我につながる想像しやすい場面として
- 立って行うズボンの上げ下げでの転倒
- 関節の動きが制限されている方の無理な着替えでの骨折
- 皮膚が弱い状態で衣類が過度にこすれることによる擦過傷
などです。
このような場面が多いため、
「着替えは怪我をしやすい」
ということをよく覚えておきましょう。
2. よくある「着せ方・脱がし方の失敗」
このような方法で着替えを介助しようと思っている、
または、されている方は要注意です。
① 元気そうに見えるから立たせる
→ 体調には波があり、良い時もありますが
体の力は大きく変わらないことが多いです。
ふらつく可能性を見込んで
必ず掴まるところを用意する、
ふらついても絶対に支えられる
という環境を整えてから
行いましょう!
② 服を引っ張って着せる
→ 骨折、皮膚の擦過傷やトラブルの原因になります。
力任せな着せ方や脱がせ方は
介護される側は当然のこと、
介護をする側も無駄な力を使う
ことが大半です。
労力に見合わないため、適切な方法を学び、
効率よく行いましょう!
分からないときは専門職に頼ることを
強くお勧めします!
③ 急がせる
→ 時間に追われる中の介護である場合、
着替える本人の動きを待つことは
介護をする側にとっては非常に
ストレスな時間になりやすいです。
お気持ちは痛いほどわかりますが、
時間に余裕を持つための工夫が
必要になります。
急がすことで介護される側も
動作が雑になり、バランスを
崩しかねません。
どれも「やりがち」ですが、
事故につながるポイントになるため
覚えておきましょう!
3.着せ方のコツ「無理にしない、一気にやらない」
ここが一番重要です。
基本の流れはこの通りです。
① 安定した姿勢をつくる(基本は座位)
② 動かしにくい・痛い・悪い側から袖・ズボンを通す
③ 体幹が崩れないよう支えながら整える
④ 最後に前を閉じる(ボタン・ファスナー)
ポイントは「無理にしない、一気にやらない」
途中で姿勢が崩れたら、必ず一度止めて整えます。
4. 脱がせ方のコツ「逆手順を基本とする」
脱ぐときは着るときと逆になります。
① 前を開ける(ボタン・ファスナー)
② 動く・痛くない・良い側から外す
③ 最後に動かしにくい側を外す
ここでも無理に引っ張らないことが重要です!
急ぐと、やはり傷を作ることやバランスを崩すため、
思わむ事故につながります。
5.衣類の脱ぎ着 鉄則は『脱健着患』
衣服を脱ぐときには健側(健康、もしくは左右を比較し良い側)から、
着るときには患側(痛みや制限、麻痺等のある側)から行う
ことを意味します。
必ず覚えておきましょう!
6. 着替えを楽にする「服と肌着の選び方」
ここからは介護をするときの服選びについて
お伝えします。
着る服の種類によって難易度が大きく
変わってしまうので注意しましょう。
ポイントはこの3つです。
- 前開き(かぶらない)
- 伸縮性がある
- 適度なゆとりがある
特に肌着は最初に着るため、
引っかかりにくさが重要となります。
一般的なかぶりの肌着は、頭を通すときに
バランスを崩しやすいので
注意しましょう。
生地については
- 肌触りが良い
- 通気性・保湿性・吸湿性が良い
- 皮膚への刺激が少ないもの
を基準として、
ご本人が着たい物を選んでいきましょう。
7. 私があまりオススメしない、気を付けたい服
安全面や難易度からあまりおすすめしない
タイプの衣服もあります。
前述しているものもありますが、
【かぶりの肌着】【Tシャツ類】
→ 頭を通すときに前が見えない、バランスを崩しやすい
【細身すぎる服】
→ 手足を通すときなど無理な力がかかりやすい
【伸びない素材】
→ ご本人の動きに追従しないため拘束感がある
【ウエストがゴムでないズボン】
→ 重力に従って"ストーン"と落ちてしまい
体を支える介助がいる場合に介助量が増える
【装飾が多い服】
→ 装飾が引っかかりやすく、皮膚の傷にもつながりやすい
ポイントは「安全に着せられるか」で判断しましょう!
8. 市販の服でも代用できる
専用の介護服でなくても、
- 前開きシャツ
- ゴムウエストのズボン
- 柔らかい肌着
こういった条件を満たせば十分対応できます。
例えば しまむら のような量販店でも揃えられます。
ただし、
- サイズが大きすぎる
- デザイン優先で着脱しにくい
こういった服は避けてくださいね。
9. まとめ
着替え介助はシンプルに見えて、
実は
「事故が起きやすい場面」です。
だからこそ、
「安全に着られるか」
この視点で考えてください。
ですが、
『服』というものは着たいものを
着たときに真価を発揮します。
思い出してください。
イベントごとに合わせて選んだあの服や、
ゆったりしたいときに着た服、
いつも着るお気に入りの服、
大事な人と過ごすときに着た服、
前から狙っていてやっと買えた服。
いくつになってもあの着たいものを着た時の
ワクワクする気持ちや楽しい気分は変わりません。
ご家族が着たいものを着ることに
意味があると思いますので、
この記事を参考にライフスタイルにあったものを選び、
続けられる介護を目指していきましょう。
この記事が、少しでもお役に立てると嬉しいです。
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